専門家はなぜ公正証書遺言を勧めるのか

遺言には、一般的なものとして自筆証書遺言、公正証書遺言があります。

自筆証書遺言にももちろん利点はあります。例えば、手軽に簡単に作れる、費用がかからないといった点です。

しかし皆様が、法律の専門家に遺言作成のご相談をされた場合は、ほとんどが公正証書遺言の作成を勧められるかと思われます。

なぜなのでしょうか。ここでは、自筆証書遺言の問題点から見えてくる、公正証書遺言をお勧めする理由について解説します。

自筆証書遺言の問題点

一つ目の問題点は、銀行での預貯金の相続手続きや、法務局への相続登記申請手続きなどにおいて、自筆証書遺言をそのまま利用しようとしても受け付けてもらえないという点です。

受け付けてもらうためには、家庭裁判所に申し立てを行い、自筆証書遺言の検認手続を行う必要があります。

この手続では、申立てのための戸籍収集など多くの手間をかけるだけでなく、相続人全員が指定された期日に家庭裁判所で顔を揃える必要があり、新たな争いのたねになる可能性もあるのです。

二つ目の問題点は、自筆証書遺言は本人が手書きで作成する方式なのですが、本人の自筆かどうかに疑いが生じる点があります。

また、書いた時点で正常な判断能力があったのかどうか、認知症ではなかったのかということも争いの種になります。

このような疑いが少しでもあると相続人間の争いとともに、遺言無効の裁判になってしまう可能性があるのです。

公正証書遺言であれば、これらの問題点がほぼ克服できますので、相続人に余計な手間や争いを生じさせるリスクが減ります。

以下に、公正証書遺言が自筆証書遺言よりも優れている点をご説明します。

公正証書遺言の利点①:相続トラブルの発生を抑止できる

自筆証書の場合は、どうしても信憑性が薄くなります。

そのため、遺言によって不利益を受ける相続人から「本当に本人が書いたのか」「誰かに書かされたのではないか」「この遺言書が書かれた当時は、もう認知症で判断能力がなかった」などと疑いをもたれてしまう可能性があります。

この遺言書の効力を争うために裁判となると大変問題です。

その点、公正証書遺言を作成しておけば、公証人が厳格な要件にもとづいて作成してくれるため、信憑性が高く、将来争いになる可能性は低いものといえます。

公正証書遺言の利点②:家庭裁判所で検認手続きが不要

家庭裁判所での検認の必要がないというのも大きなメリットです。

自筆証書遺言であれば、遺言者の死亡後、相続人が多くの手間をかけて家庭裁判所に申し立てを行い、遺言の検認手続を行う必要があります。

その手続きも、着手から完了まで数か月かかります。

公正証書遺言であれば、検認不要なので、そのまますぐに公正証書遺言を使って、銀行や法務局などで相続手続きを進めていくことができます。

公正証書遺言の利点③:遺言が無効になる心配はない

エンディングノートとは違い、遺言というものは、自分が相続人に伝えたいことをただ書けばいいというものではありません。

自筆証書遺言は、作成方法が法律で定められており、少しでもその方式に反すると、せっかく作成した遺言書全体が無効となり、かえって遺言や遺産にまつわるトラブルを増やしてしまいます。

公正証書遺言であれば、公証人といった法律のプロが作成するので、遺言が無効になってしまうような心配はありません。

公正証書遺言の利点④:偽造や紛失を予防できる

自筆証書遺言であれば、保管は自分でしますので、紛失したり、間違えて捨ててしまうことも考えられます。

また、見つからない場所に隠してしまうと、遺言者没後も誰にも発見してもらえず、遺言書を遺した意味がなくなってしまいます。

かといって誰でもわかる場所などに保管しておくと、誰かにこっそり内容を書き換えられてしまう可能性もあります。

しかし公正証書遺言であれば、遺言書の原本は公証役場に保管されるため、紛失や偽造をされる恐れはありません。

たとえ公正証書遺言を紛失しても、「遺言検索システム」を利用することにより、公証役場で故人の遺言書があるのかどうか調べてもらうことができますし、遺言書の再発行をしてもらうこともできます。

遺言検索システムへの照会請求は、遺言者の生前においては遺言者本人しかできませんが、遺言者死亡後は、法定相続人や、受遺者・遺言執行者など利害関係人が行うことができます。

公正証書遺言の利点⑤:字を書けなくても作成可能

自筆証書遺言とは、遺言をする人が自分で紙に書いて作成する方式の遺言書であり、遺言者自身が自分の手で書く、すなわち自書する必要があります。

これに対し公正証書遺言の場合は、遺言者が自分で文字を書くことができなくても、書きたい内容を公証人に口頭で伝えれば、あとは公証人が作成してもらえます。

自分の名前だけは末尾に署名する必要があるのですが、病気等で署名することが難しい場合には、遺言者に代わって公証人が名前を代署することも行われています。

公正証書遺言の利点⑥:公証人が出張しての作成も可能

足が不自由、長期入院中など、何かしらの理由で公証役場に行くことが難しい場合は、公証人に自宅や入院先病院に出張に来てもらい、遺言書を作成することができます。

ただし、出張に来てもらう場合は、公証人に日当と交通費を支払う必要があります。

具体的にどれぐらいの費用が加算されるかは、出張場所と公証役場の距離、移動にかかる時間なども影響するため、作成を依頼する公証役場に問い合わせして確認しましょう。

遺言に関するご相談

公正証書遺言をお勧めする理由について説明させていただきました。

公正証書遺言のデメリットとしては、作成の手間と費用がかかるという点ですが、メリットに比べれば些細なものといえるのではないでしょうか。

大切な遺言書ですので、自筆証書遺言をお考えの方も、こういった公正証書遺言の利点を考慮した上で、どちらを選択すべきかお考えいただければと思います。

当事務所では、公正証書遺言や自筆証書遺言作成のお手伝いをしております。

皆様に寄り添い、問題解決のお手伝いをさせていただきます。

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