遺産分割について相続人間で話しがまとまらない場合には、家庭裁判所の遺産分割調停の手続を利用することができます。
遺産分割調停では、相続財産にどのようなものがあって、相続人間でどのように分けるかについて、家事審判官と調停委員で組織される調停委員会が、当事者それぞれから、背景事情や各人がどのような分割方法を希望しているかの意向を聴くなどして、具体的な解決策を提案するなどを行い、話し合いで円満な解決を目指すものです。
それでも話合いがまとまらず、調停が不成立になった場合には、審判手続が開始されて、裁判官が一切の事情を考慮して審判をすることになります。
遺産分割調停申立て手続き
①申立人
共同相続人、包括受遺者、相続分譲受人のうちの1人もしくは何人かが、他の相続人全員を相手方として申立てます。
②管轄
相手方の住所地または当事者が合意で定める家庭裁判所。
③手数料等
被相続人1人につき収入印紙1200円と郵便切手(裁判所によって異なります)
④必要書類
相続人全員の戸籍謄本・住民票、被相続人の除籍謄本及び出生まで遡った戸籍謄本一式、相続関係図、遺産目録、遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書および固定資産評価証明書、預貯金通帳の写しまたは残高証明書、有価証券の写し等)
遺産分割調停の流れ
申立をすると、1~2ヵ月くらい先の調停期日が指定され、相手方へも家庭裁判所から通知されます。
指定された期日に、調停委員会を介して相続人全員で話し合いが行われます。調停委員会も状況に応じて、全員を同席する、一人ずつ別々に話を聞くなどの対応をしています。
1回で話がまとまらなければ、何度か期日を設ける事になります。
最終的に当事者全員の合意に達すれば、その内容で調停調書が作成され終了となります。
しかし、全く合意に達する気配がない場合や、相手方が家庭裁判所に出頭する気が無い場合には、調停は不成立で終了します。
遺産分割調停の成立または不成立
調停が成立した場合と不成立だった場合については、以下のとおりです。
①調停が成立
当事者全員の合意に達すれば、家庭裁判所において、その合意内容を記載した調停調書が作成されます。
この調停調書は裁判の判決と同様の効力をもっているため、調停調書に記載されているとおりに遺産分割をしなければなりません。
この調停調書の内容に従って、不動産や預貯金など個別相続財産の相続手続きを進めることとなります。
②調停が不成立
遺産分割に関する合意が当事者全員でできない場合は、調停が不成立となります。
調停が不成立となった場合には、審判の申立てがあったものとみなされ、自動的に審判手続に移行されます。あらためて家庭裁判所に審判申立書を提出する必要はありません。
審判手続きでは、家庭裁判所が当事者の主張を改めて検討したうえで、遺産分割方法を審判で決定します。
そして、審判が下されたら、各当事者に審判書が交付されます。
当事者全員が、多少不服があれど審判内容に従うのであれば、審判書に記載されているとおりに遺産分割を行うことになります。
下された審判内容にどうしても不服がある当事者は、高等裁判所に即時抗告を申し立てることができます。
これは高等裁判所の裁判官に対し、家庭裁判所の審判に問題がないかの再審理を求める手続きです。
遺産分割調停の申立てに関するご相談
当事務所では、遺産分割調停申立書作成のお手伝いをさせていただきます。
戸籍謄本や資料の収集だけをとっても大変な労力を使う可能性がありますので、困ったときには専門家に相談することをお勧めします。
皆様に寄り添い、問題解決のお手伝いをさせていただきます。
※司法書士は、遺産分割調停の申立書を家庭裁判所に提出することはできますが、本人に代わって家庭裁判所の話し合いに参加する事はできません。たとえ家庭裁判所の中であっても相手の顔を見ることすら嫌だという方は、弁護士に依頼をしていただく必要があります。